「話したいよ。祇園君と。祇園君がなんで気になるかは私もわからない。でも、すごく話したいって思う。」

「そう。」

志織が優しく笑う。
私も笑い返す。

「ゆうは顔は正直なのに、あれこれ考えすぎ。今みたいにもっとシンプルにいけばいいの。」


シンプル。


「あとは、タイミングだよねっ!・・・手洗い場まで走れっ!」
にっと笑って走る志織を慌てて追いかけた。

渡り廊下を渡って手洗い場へ。前を行く志織の肩までの髪と白いセーラーが眩しい。


話せるかな。怖いけど、祇園君と話したい。

会って間もないクラスメートにこんなに興味をもつなんて不思議。


志織を追いかけながら、自分のむき出しの気持ちが気持ちよくて、なんだか笑ってしまう。
嬉しい。


「あ〜歯磨き粉忘れたっ!!」
手洗い場につくや飛び出す志織の大きな声に思わず吹き出してしまった。

「貸そうか。」
「かたじけない。」


笑いあってるときに、あの音が聞こえてきた。

──ドオォォン- - -