「俊司さんは僕のこの気持ちに気づいていたんだ・・・。
だから付き合うようになってから、会うのを止められた。
でも、この街に居る限り何処に行っても小柄さんが居るんだ、
その隣には必ず俊司さんが居て・・・。
諦めようとしていた時に目の前に現れるんだもん・・・。」


情けなく笑う健は、
小柄にもう一度キスをしてそこを去っていった。

これが健にとってはお別れのケジメだったんだろう。



小柄はしばらくそこに居て、健の事を考えていた。

さっきまでの月明かりはなく、朝日が差し込んできた。



帰ろうと思い立ってはみたものの、
今から帰る所は俊司も居る健の家だ・・・。

足が動かなかった。


その時初めて俊司の事を思った・・・。

健の事ばかりで俊司の事を考えていなかったのだ。



そんな自分にも失望した。




すると誰かが近づいてくる音がした・・・。




ふと外を覗くと全身ずぶ濡れの彼が立って居た。