私は何故だかぼ−っとしていて、何を考えるわけでもなく、その場に立っていた。




その時彼女が顔をあげ、


ふと、目があった。

澄んだ瞳に見つめられ、視線をそらせなくなった。
スタイルだけでなく顔立ちもいいし、なんだかオーラみたいなものがあって、圧倒された という感じ。


「何?」

私が蛇ににらまれた蛙のように固まっていると、彼女は首を傾げ、気だるそーな声で聞いてきた。




テンパった私は、噛みまくりながら答えた。

「え!、あ、あの、・・・・・。く、口笛、上手いな−、とか思って・・・ね。つ、つい聴き入っちゃった・・・的な、ね。」

そして一生懸命笑顔をつくる、恥ずかしさとかなんとかで、相当ひきつってただろうけど。






「あぁ、・・・。そう。」

彼女はまたまた気だるそうにそう言ったけど、
いきなり吹き出して、

「へんなの。」


と笑った。



その笑顔をみて少しだけ緊張がほぐれた。

「あ、あはは。よく言われる。」






彼女はニコニコして私を見つめ喋らない。
なんだか話題を作らなきゃいけない気がして、何のポスターを貼っていたのか、と聞くことにした。


「あぁ、さっきのね。あれは軽音部の部員募集ポスター。」