「失礼しましたー。」


担任に紙を出し終え職員室をでる。
やけに軽いリュックを背負い、昇降口に向かう階段を降りかけたとき、




「あっ、」


昨日の口笛が聞こえた。今度のは、確かにすぐ近く。
昨日より、ずっと

ずっと、近く。



昨日聴いた、頭から離れなかったノリのいいビートが、
私の真後ろで聞こえる。










「あっ!」


振り向くと、

口笛の主はさっきまで私がいた職員室の前で、掲示板にポスターらしきものを貼っていた。
それはとてもスタイルの良い女の子。
ノリのいいビートの口笛とは正反対の、何とも気だるそうなその人はスリッパの色から、同じ一年生であると見受けられた。



ポスターを張り終えた彼女は、それと一緒に口笛も止め、腰に手を当てポスターをみた。

「よし、」


彼女は足元においてあったスクールバックを手にし、こちらの方に歩いてきた。

彼女襟足は赤く染められていて黒髪に赤というのがとても印象的。
(てゆ−かいかにも不良。)