くじ運だけはよくて、入学して初めての席替えは大当たり。
グラウンドが見渡せる窓際の一番後ろ。
窓から5月の風邪が吹き抜ける。
現社の担当のおじいちゃん(先生)は雑談が好き。誰も笑わないような話をゆっくりゆっくり笑顔で語る。
私は彼の雑談が嫌いぢゃない(むしろ好きだ)から、頬杖を付きつつ耳を傾ける。
授業の話のどこから思いついたのか、今日彼は「ビートルズ」について語っていた。
ビートルズってゆ−と、ジョンレノンと、それを真似する芸人しか頭に浮かばない。
「彼らの曲を聞いていると、年をとった今でも、なんだかわくわくするんです。」
そんなにいいのか、ビートルズ。
おじいちゃん(先生)がいうなら聞いてみようかな。
そんなところで、5月の風のせいか、おじいちゃん(何度もいうが先生)の声がどんどく遠くなっていき、私は一限目だというのに深い深い眠りについた。
そんな感じで1日を終え、莉央からの誘いを断り、昼休みに適当に書いた進路希望調査の紙を出しに職員室に向かった。
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