「あ、止まった。」



口笛はすぐに聞こえなくなってしまった。

結局何を運んできてくれるでもなく、私は無意識に走り出した自分が恥ずかしくなった。
今日何度目だかわからない溜め息をつき、私は学校を出た。




寄り道をする気にもなれず、まっすぐ家まで自転車を走らせる。
耳につっこんだイヤホンからは、適当にiPodにいれた好きでも嫌いでもない流行りのJーPOPが流れる。
家につくまでにいくつかの曲を聴いたけど、いつもより更につまらなく感じた。





今日聴いた口笛の、なんともいえないノリのいいビートが忘れられなくて、なんだか不思議な気持ちになる。


「あれ、なんて曲だろ。」





.