「ライト!マーズレンは、義兄になるのよ。
偉そうな言葉つかっちゃだめよ」
ライト--、それは、ルシルのすぐ下の弟だった。
カナンを去る前日、俺を睨みつけて、ルシルを守ると約束した、あの弟だ。
「男に二言はないって言ったろ」
あの時は、離婚するなとか、とんでもない誤解をされたもんだと思ったが、
はからずも、あのときの言葉が、そのまま再利用されるなんて、当時の俺が知ったら、驚くんだろうな。
「それにしても、ライトってば、背が伸びたわね~。
私と変わらないくらいだったのに」
「まあな。この一年でずいぶん伸びたからな。
そこのチビより、大きくなったろ」
ライトが、俺のほうを顎で指して、答える。
「ライト!!マーズレンに何てこと言うの!」
ルシルは怒ってるけど、俺はなんだか嬉しかった。
だって、俺の家族が増えるんだもの。
「よろしく。ライト!お兄さんってよんでいいぜ?」
俺は、カルレイン様を真似て、にやりと笑って見せた。