ま、二人でよく話し合えよ、って、ルシルのご両親は、子供を引き連れて、畑へと戻っていった。
取り残された俺は、あいた口がふさがらない。
一体何なんだ、ここは。
と、
ルシルがすまなそうに俺の顔を覗きこんできた。
「ごめんね、マーズレン。うちは、こういう家だから・・・。
私も、お城へ上がるようになって、初めて礼儀作法とか学んだし。
やっぱり、嫌だよね。私となんか・・・」
「そんなことあるわけないじゃないか!
俺がすきなのは君なんだから、家とかなんとか関係ないよ。
それに、俺は、君の家族も大好きさ!」
どうやら、俺が挨拶に来たいっていうのを、ルシルがあまり喜ばなかったのは、
こういう結末を予想していたかららしい。
俺がルシルの肩に手をやった瞬間、俺の後ろで低い声がした。
「今の言葉、一生忘れんなよ」