とりあえず、うちへ、と言われて、俺はルシルの家に案内された。
中は相変わらず狭くてぼろぼろで、でもなんだかあったかくて、懐かしい気がする。
俺は、ルシルのご両親の前に跪き、声を張り上げた。
「む、娘さんとの結婚をお許しいただきたく、ご挨拶に参りました。
必ず彼女を幸せにします。どうか、よろしくお願いいたします!」
どうだ!
俺だってやるときはやるんだぞ。
一気に言葉にすると、俺の肩の荷はすっかり下りて、
俺は、下げた頭の下で、思わず笑みがこぼれた。
が、
待てど暮らせど、返事がない。
まさか、だめだっていわれるんじゃあ・・・。
俺が、不安になって、そっと顔を上げると、
ルシルの両親は、ぽかんとしている。
「なんだ、あんたたち、まあだ、結婚してないのかい」
ルシルの母親が、あきれた顔で、俺を見下ろした。
「だな。子供の一人くらいできてるかと思ってたぞ」
ルシルの父親が、まだまだだな、って、俺の肩を痛いくらいにバンバンと叩いた。
・・・はい?