カルレイン様は、俺たちのことに、少しも気付いていなかったのか、
かなり驚いた顔をしていたけど、それも一瞬だけ。
すぐに、口の端を吊り上げて、新しいおもちゃを渡された子供みたいに、にやりと笑うと、
『お前の親も挨拶が必要だろう。俺が代理として、ついていってやる』
なんて言い始めた。
自分がリリティス様との婚儀が決まったもんだから、余裕綽々なこの態度。
我がご主人様ながら腹がたつ。
どうやって口説いたのかとか、どこまでいってるんだとか、ルシルの気持ちは間違いないのかとか。
果ては、俺が口説いてみて、誠実かどうか試してやろうかなどと言い出す始末・・。
まったく、他人事だと思って。
だからカルレイン様には、ちゃんとうまくいくまで、知らせたくなかったんだ。
ま、最後には笑いながら、ルシルのお休みも一緒にやるって言ってくださって、
頑張れよ、なんて声もかけてもらったけどさ。