視界の端に、いつもルシルが横になっているだろう寝台が映る。


このまま押し倒してしまおうか?

多分、ルシルは許してくれるような気がする。


けど・・・。


やっぱり、ルシルの両親や兄弟に、きちんと報告して許してもらってからがいいな。


「ルシル。大好きだよ」


俺は何度もそう囁いて、自分自身にも言い聞かせた。

そう、俺はルシルを愛している。

愛してるから・・・ちゃんと幸せにしてあげたい。


そのためには、やっぱりけじめって大事なんじゃないかと思うんだ。


カルレイン様に言ったら、生真面目すぎるって笑われちゃいそうだと思ったけど、

やっぱり、俺は、そんな風にしか生きられないから。


後ろ髪を惹かれる思いで、ルシルの部屋を後にした。


はぁ~。こんな火照った体のまま、眠れるのか?俺・・・。


部屋を出たあと、追いかけてこないかな、なんて未練がましく振り返る俺。

ひょっとして、実は俺には勇気が足りないだけだったりして・・。