ルシルの家では、兄弟がルシルにすがってわんわん泣いていた。

この間、ルシルにスープをわけようとした、ルシルのすぐ下の弟は、

まるでルシルをさらっていく極悪人のように、俺を睨みつけている。


確かにそうかもしれない。

俺がルシルに侍女の話なんてしなければ、きっと今頃、貧しくてもみんなで食卓を囲んでいられたんだ。


「お姉さんは、必ず俺が守るから。約束する」


俺は、ただ、深い意味はなく、表面上の言葉通りの意味で言ったつもりだった。

ノルバス国でのなれない生活や、万一敵国の人間として扱われた場合に備えて。


が、次の瞬間。


「わかった。姉ちゃんはお前に任せる。喧嘩して泣かせて、リコンしたりしたら、

俺は一生お前を許さないからな!!」



・・リコン?



「え?いや、あの、俺はね・・」


「なんだ。男の癖にいいわけかよ。情けない男だな。

ノルバス国の男ってのは、皆お前みたいなのばっかりかよ!」


俺は、自分だけでなく、ノルバス国を馬鹿にされたような気がして、

カルレイン様を馬鹿にされたような気がして、

思わず叫んだ。


「そんなわけないだろう!男に二言はない!!」