そんなイライラの中、『かわいい』の言葉に機敏に反応しながらも苦しみながらキャッチボールを続けた。


パラパラと来だした他の部員も、次第にキャッチボールを始めた。



結構続け、肩も慣れてきたって思うと、颯人は言った。

「渉、座ってー」


(投げるのかよ…)

「はいはいっと……」



しぶしぶ座ってグローブを構える。

颯人は綺麗なフォームで投げた。
俺のグローブの真ん中に来たボールはずっしりと重かった。


周りから黄色い声が飛び交う。
かっこいー!!の連呼だ。


(まったくコイツ等どーしようもねえな……)



「…颯人、まだ早いんじゃね?」

「ファンサービスっ!!
みんなに応援してもらえば、前不評だった野球部が好評になるっしょ?
まずは周りから愛される部活にしないと、なあんにも変わんないし、部費とかも減っちゃうじゃん?
だから、そこを狙うのさあ♪」





(そうゆーことね…)


「でも、渉は無愛想でいいからね!!
そこがまたかわいいんだからー♪」



「寄るな、うざい」

コイツはいつも一言多い…