「大丈夫ー!!渉はかわいいからあっ!!」
「……うざい」
思い切り颯人に向かってボールを投げた。
「おいっ!!ちょ…うあー」
ボールは颯人を軽々と越し、バックネットへバシンと当たった。
「わりぃわりぃ」
言葉とは裏腹に、反省の気持ちなんかこれっぽっちも入ってなどいない。
バックネット裏にも颯人のファンは溢れごった返し、
「押さないでよ」
「はあ?まじうざい」
「どいてよ、見えないじゃん」
普段の女の子らしい人は誰一人いない。
でも颯人がボールをとりに近づくと、その女の顔をした悪魔達は一変、
「颯人くーんっ!!」
みんなして手をブンブンと振り回し、どす黒い声が黄色い声へと変化した。
(うわあ…こんなんさすがの颯人でも引く…っ!?)
颯人は笑って
「来てくれてありがとー」
と手を振っていた。