ああ、でも。

 女子高生がさみしいって、なんかイヤ。

 すっごくむなしい感じがする。

 腐っていく感じ。

 ドロドロって。

 そういうのはパス。

 わたしはそんな女の子じゃないはず。


 木下愛はそんな子じゃない。



「木下愛さん」



 フルネーム。

 誰?

 わたしは窓から視線を移す。

 

 声の主。

 黒い髪。

 メガネ。

 きちんと結われたネクタイ。

 とめられたボタン。

 見覚えのある顔。



 えっと、確か。

 たぶん、だけど。

 きっと。


「会長?」


 わたしがそう聞くと彼はにこりと笑った。