「よしっ、燃えてきた。峻太、ぜってぇ全国な」

HR終了後に海斗が鼻の穴をふくらませるようにしながら峻太の席に近寄って言った。


そんな様子を腕を組みながら見ていた先生が、笑いながら言った。


「おぅ、海斗燃えてるな。いいぞ、全国制覇しよーぜ。でもお前勉強もしねーとな、3年だからよ」


「なんだよ、テンション下がるじゃねぇ―か、宮セン。さっき後悔しないようにって言ってたじゃん」


「赤点です。単位とれません。卒業できませんじゃ、もっと後悔するぞ」


「現実は厳しいっすね、文武両道、がんばりまーす」


私たちに真っ直ぐに今を見つめることの大切さを教えてくれる先生。


やっぱり…私は…


ううん。でも、もう決めたんだから。先生のことは諦めるって。


だって、私には仁さんがいるんだから…


「蒼衣、今年も1年よろしくな。お前の笑顔が見れてうれしいぞ」


うん。いまなら素直にこう答えられるよ。


『うん。私も、先生のクラスでよかった。今年もよろしくね』


「楽しくやろうぜ。峻太のこともよろしくな。お前もあいつのことはよく知ってるとは思うけど、あいつ頑張りすぎちまうから、支えてやってくれ」


『うん』


先生、みんなのこと大切に思ってくれているんだね。少し大人びた峻太の横顔を見ながら返事をした。