3年生としての初めてのHRは先生の笑顔からはじまった。

なるべく見ないようにする私。

声を聞かないように意識する私。

先生を自分から遠ざけようとすればするほど自分の中に深く入り込んでくる先生の存在の
大きさを感じる。


「いよいよ高校生活最後の1年だ。勉強、部活、恋愛、後悔しないように高校生活を満喫してほしい。でも、焦ったり、悩んだり、迷ったりすることが多い年にもなると思う。自問自答する中できっと自分の未来への一歩が何かしらきっと見つかるはずだから、大いに悩め、そして考えろ。今、答えを見つけようとしなくてもいいんだからな。応援するから」


…未来への一歩…


先生の言葉は重い。


聞かないように心の扉を閉めていても、ドーンと扉を叩かれ開かれる。


でも、開かれた扉の先には温かい日差しのような穏やかな気持ちに包まれるから不思議だ。