「おう、唯。遅くなって悪い」


ドーナツ屋でアイスココアを飲んで待っていた私達に圭ちゃんが声をかけた。


「あっ、この子が蒼衣ちゃん?」


『はじめまして、蒼衣です。いつも唯から話は…』


私が挨拶していると唯が言った。


「いつも話を聞かせているのに、圭ちゃんって?なんて言う天然の蒼衣でーすでしょ」


『もぅ、唯のいじわる』


「大丈夫、圭ちゃんにも蒼衣のボケボケさは了解済みだから ねっ」


圭ちゃんは唯と同じ中学だ。


中学の時はあんまり接点のなかった二人。でも、圭ちゃんはずっと唯のことが好きだったらしい。


別々の高校に通うことになり、落ち込んでいた圭ちゃんだったけど、偶然駅で唯と再会して、猛アタックし付き合うことになった。


「でもさ、こうやって帰りに会えるのなんて久しぶりじゃん」


「そうだね。帰る時間が違うもんね」


圭ちゃんは中学時代サッカー部だった。でも、けがをしてしまい高校では部活には入らず、地元のフットサルのチームで楽しみながらやっているので、部活を続けている唯とはなかなか時間が合わないのだ。


『じゃぁ、せっかくの貴重な時間なのに私なんかが一緒で…』


「いいんだって、圭ちゃんずっと蒼衣に会いたがってたんだからねー」


「うん。いつもさ、唯が蒼衣ちゃんのこと楽しそうに話してくれててさ、会ってないのにすごく近くに思っちゃってさ」


「まんまでしょ」


『もぉ、唯は…』


圭ちゃんも唯と同じように優しく、とても楽しいあったかい人だ。