そういえばあの日から峻太とは話していない。


「あのさ、蒼衣…」峻太に強く握られた手を思い出す。


峻太は何を言いたかったのだろう。


「好きな奴の幸せを自分の幸せと思わなきゃな」峻太のさみしそうな表情が浮かぶ。


峻太もそんな恋愛をしているんだろうか…


いろいろな思いが頭の中を廻る。


「でねー、その時圭ちゃんが言った言葉がひどくて…ねー、聞いてる」


『…う、うん、それで』


唯のおしゃべりと共に足早に体育館を通り過ぎた。