それからいつもどおりの他愛もない話をして歩いた。


もうすぐ別れ道のところで峻太が立ち止まった。


「あのさ、蒼衣…俺、お前の…やっぱ、あのさ、蒼衣は好きな奴いるの?」


『…うん、いるよ。大好きで私の大切な人…』


人は本当に不思議な生き物だ。


ついさっきまで、もう恋なんてしないって思っていたのに。


人を好きになるということは、人の温かさを感じるから、人を愛しいという思いが生まれるのだと思う。