「蒼衣、蒼衣の大切な人って誰なんだよ。付き合っている彼氏よりも大切なやつって誰なんだよ。俺じゃダメなのか。俺は蒼衣の大切な人にはなれないのか?」


『何を言っているの?峻太。自分の言ってることわかってる』


「わかってるよ。だから、俺はお前がずっと前から好きなんだよ」


そう言って峻太は私を抱きしめた。


自転車と前に載せていたバッグが道路に倒れた。


私のことが好き?何を言ってるの?峻太には彼女が…


そう思ったとき私はハッとした。



…同じだ。私と同じ思い。



折れてしまうんじゃないかと思うほど峻太は私を強く抱きしめた。



『…峻太、い・いたい…』



それでもまだ峻太は離してくれなかった。