『ねー、峻太は休みがなくても平気?毎日毎日、朝から夕方もバスケでしょ』
「きついなーと言う時は正直あるけど、でかい夢があるからな」
『全国制覇』
「おー、わかってんじゃん。でもさ、それはあくまでも目標。やっぱ、バスケが好きだから頑張れるんだよな。好きだからさ…」
『…うん』
なんだか峻太の背中が大きく感じる。
「そういえば蒼衣。よかったな、思いが通じてさ」
『…?…』
「だって、言ってただろ、片思いだって。そのぅ、唯の言う大人の男って奴とつきあってんだろ」
『仁さんとは付き合ってるけど、あの時峻太に話した人じゃないの』
「そうなのか?」
峻太は驚いた様子で言った。
『うん。でもやっぱりその人のことが好きなんだなーって思うことが多くて、それなのに
仁さんと付き合うことで安らぎを感じる自分もいて…私ってずるいなーって』
「蒼衣はそれでいいのか?だってあの時、自分にとって大好きで大切な人って言ってたんだぞ。その人を思うことで幸せって…だから俺は…」
『だって、その人にはもう大切な人がいるんだもん。告白もできない、自分の大切な人にもなってもらえない。諦めようとしても、他の恋をして忘れようとしても無理なんだよ。どうすればいいの』
「俺はさ…」
峻太が何か言いだしそうだったけれど、これ以上自分の気持ちの中に入ってきてほしくなかった。