「ここ、覚えてるか?お前と昼飯食ったよな」


グランド脇の木陰のベンチには心地よい風が吹き抜けてくる。


『先生、ごめんなさい。どうしよう私…先生の大事な日に、あんなこと…』


冷たいジュースを握りしめたまま呟くように言った。


先生は一口飲んだ後、笑顔で言った。


「気にするな」


そして、持っていたボトルをコツンと私のボトルにあてた。


「うれしかったから…俺。蒼衣が俺のことそんなにまでして大切に思ってくれていたこ
と、うれしかったからな…」



先生の思いがけない言葉に思わず顔をあげ、先生を見つめた。