静かに峻太の横顔を見る。


真っ直ぐ前を見つめる瞳には優しい光が映って見えた。


アパートにつくと峻太が言った。


「大丈夫か?じゃあな」


『…』


傘をさし、一人で歩く峻太の後ろ姿。


『峻太、待って……』


「…どうした?」

『もう少し…もう少し、私の傍にいて…』


私のわがままだっていうのはわかっていた。



「…わかったから…泣くな…」


峻太は私の頭をポンポンと叩き背中を押した。


峻太の大きな手から力を感じた…



…あたたかい…




押された背中は、なんだか沈んでいた私の気持ちまでオレンジ色にしてくれそうなほど温かかった。