「あおい、蒼衣。なにやってるんだよ。探したんだぞ」
声のする方を振り向くと、傘を手に峻太が駆け寄ってきた。
「ずぶ濡れじゃないか、どうした。風邪ひくぞ」
『峻太…』
峻太は黙って傘を差し出した。
「帰ろうぜ。送ってくよ」
私は頷くと峻太と共に歩きだした。
小学校、中学、高校、峻太とこうして何回歩いただろう…
時にふざけあって…追いかけっこしたり…
クラスの合唱の歌も、歌いながら帰ったり…
厳しい先輩の悪口を言い合ったり…
バスケの話に盛り上がったり…
峻太はいつも笑顔で歩いていたね…
…峻太…峻太と歩くと同じ歩幅で歩けるような気がするよ…