さっきよりも雨が激しく降ってきていたことにも私は気付かなかった。
このまま、時間が止まってしまえばいいのに…
そんなとき私の携帯から着メロがなった。
きっと峻太からだろう。
雨の激しい音とメロディを消し去るように私は頭を小さく振って、先生をもう一度強く抱きしめた。
半袖のYシャツから先生の腕が捲れ上がって見えた。
私はその腕にそっと、唇をあてた。
先生のにおい、鼓動、ぬくもりも、全部独り占めしたかった。
『…先生…』
私は小さな声で先生を呼んだ。
きつく、きつく抱きしめられた瞬間、理性ではどうしようもできなくなっていた。
そっと唇をあてただけで幸せだったはずなのに…私は先生の腕にキスをした。
きつく、強く、跡が残ればいいと…何度も…何度もキスをした。
…私と先生の思い出…が残るように…
ただ、ただ、先生との時間が愛おしく、自分との証がほしかった…だけで…