仁さんと別れてから、二度電話で話をした。
一度目は仁さんからの電話で、フランスの地元のお菓子のことや自分の住んでいる町の話をした。ただ、ただ、聞いているだけの私に仁さんは優しくいろいろなことを話してくれた。そして、自分の選んだ道は後悔していないと力強い声で言っていた。
二度目の電話は、卒業の報告と栄養学を勉強する大学に行くことになったことを伝えたくて私から連絡した。
仁さんと出会っていなければこの選択もなかったかもしれないから…
仁さんはものすごく喜んでくれた。
でも…電話の仁さんの声は今までに聞いたことのないさみしそうな声だった。夢に向かう
ことの苦しさ、辛さ、自分を信じられなくなり現実から逃げだしたくなりたい時もあると…
今まで弱音を吐いたことのない強い仁さんしか知らなかった私はびっくりした。