「やっぱり、蒼衣も気がついたか。俺、心配でさ、海斗達にも話してみたんだけどいつもと変わんねーじゃん、試合が近いからそう思うんじゃねーって言われちゃって。でもさ、蒼衣ならわかるかなと思ってさ、宮ゴリのこと」


また、そう言って私を見つめた。


ドキドキしちゃうよ。心まで見られちゃいそうで思わず目をそらしてして、カバンを胸の
あたりで抱えるように持った。



『でも、先生もう大丈夫だよ。大切な人を思う気持ちって、きっといくつになっても、切なくて、苦しくて、愛おしいものなんだね。先生、本当に奥さんのこと大切に思っているんだよね。先生に愛されている奥さんがうらやましいな…』



「…蒼衣…」



先生も人なんだ。



当たり前のことなのになぜかうれしい発見をしたようでおもわず笑顔になってしまう。



『峻太、最後のインターハイだね。気合いいれて、応援するからね。峻太、聞いてる?』




「おぉ…」