『先生、いいこと教えてあげる』


「えっ、なんだ?」


コーヒーを飲みながら答える先生。


『おまじない。手を出してみて』


「占うのか?」


先生は両方の手のひらを私に見せるように膝の上に置いた。


『おまじないって言ったでしょ。不安な時とか、喧嘩しちゃった後の仲直りとか…左の手をこうだして』


そう言って私は先生に左手を前に突き出すようにしてみせた。


「こうか?」


先生の左手が私の左の手のひらに合わさる。


そっと薬指だけ先生の指にふれる。