『…うん。私も会える日を楽しみにしているからかな…でも、大丈夫って言うのはかわいくないよね。だって、会えないのにわがまま言えないよ』
「やっぱりお前似てるな…」
『似てる?誰に』
先生は眩しそうに空を見ながら愛おしそうにつぶやいた。
「俺の大切な人…なーんてな、母ちゃんだよ。峻太達の言うゴリ嫁だ」
『私が先生の…似ているの?』
「お前本当はさみしがり屋だろ。一人で我慢したり、悩んだり、自分の大事な人の前では特に強がったり…するんだよ。あいつも…」
先生が私のことをこんなに知ってくれていたことがとてもうれしかった。
でも、それが先生の大切な人とも同じだったことに…何も言えなかった。
「でもさ、無理すんなよ。甘えたいときには甘えろ。わがまま言いたいときには言っていいんだぞ。我慢してくれてるってわかっているのにさ、ついその笑顔、優しい言葉に俺が逆に甘えちまう。情けねぇけどな…」
『先生、大丈夫だよ。甘えてくれてうれしいよ。自分のことを思ってくれているってだけで我慢も我慢じゃなくなるんだよ。大切な人の幸せは自分の幸せだから。大丈夫。先生の気持ち通じているよ、きっと』
「そうか。ありがとな」
私の話を目をつぶったまま聞いていた先生。
きっと心の中には私の代わりに先生の大切な人が話しかけているんだろうな。
それでもいい。ほんの一瞬かもしれないけれど先生の心の中に私のスペースができたのなら。