お礼を言うのは私のほうなのに…でも、ドキドキが激しくて何も言えない。


先生は赤いバンダナに包まれたお弁当を開く。


…愛妻弁当…先生喜びすぎ…


少しムッとしながら自分もお弁当を開く。


「おっ、蒼衣の弁当うまそうじゃん。俺、クロワッサン好きなんだぜ」


『ほんと?実はこれ、私が作ったんだ』


やっぱり、先生との時間は最高だよ。


「たまには外で食べるのもいいな」


先生が空を見ながらつぶやいた。


『うん。何でも美味しくなるね。きっとプチトマトもね…』


「おい、おい、蒼衣。お前のそういうところいい。素直なとこ、かわいいとこだぞ。お前
の良さだよな。でも、こればっかりは無理かも…」


そう言って笑いながらながら、お弁当の中に入っていたプチトマトを私にくれた。


私のいいところ…かわいいところ…私はプチトマトと同じくらい真っ赤になりながら笑っている先生を見つめた。