『そういえば、峻太はいまラブラブじゃないの?見たよ、手なんかつないじゃって。かわいい彼女できてよかったじゃん』


「見たのか?でも、あいつ彼女なんかじゃねーし」


峻太の事を話せば少しは明るい会話になるんじゃいかと思ったのに話のテンションはなぜ
だかさらに下がってしまった。そんな気まずい空気を消すために私は思いつくまましゃべり続けた。


『照れなくてもいいじゃん。どこか行ったりしたの?でも、休みがないからデートはあんまりできないか。でもさ、映画くらいなら時間なくても。私さ、あの映画観たいんだよね。今話題のやつ。そう言えば峻太あの女優さん好きだって言ってたよね』



ふぅー と峻太に気づかれないように息をつく。



「じゃぁ、行こうぜ」


『えっ?』



予想していなかった答えにびっくりする。