「おつかれさまでした」
練習が終わっても峻太は一人シュートをうっていた。
「ちくしょう」
リングから跳ね返されたボールが大きくバウンドして先生の足元に転がっていった。
「あれてんなぁ、峻太」
練習中は峻太に声をかけなかった先生が言った。
「ここからやってみろ」
…えっ…あんなところから…
…あんな遠くからじゃ、無理…
みんなは静かに峻太の動きを見守った。
ボールを受け取ると、そのまま峻太は先生を見つめた。
先生は真っ直ぐに峻太を見て大きく頷いた。
それが合図のように、峻太はボールを何度かバウンドさせるとシュートのフォームを作
り、すっとボールを放った。
ボールはまるで吸い込まれていくかのようにリングに入っていった。