「あれー、蒼衣今日デートじゃなかったのか?」
海斗がバッシュを履きかけた私に声をかけた。
『えっ、どうして知ってるの…』
「だって、唯が昨日言ってたからさぁ。明日は私も蒼衣もデートだから部活休むからねっ
て。午後から車でデートか。まさか泊りじゃねーだろーな。いいよなぁ、明日は女子は練習休みだしよぉ」
『何言ってるの、海斗。違うよ。でも、今日はね…』
私が言おうとしたとき峻太の声が響いた。
「海斗、ぼさっとしてんじゃねーよ。練習始めるぞ」
「おぅ、ワリィ」
準備体操の掛け声で、いつもの練習が始まった。
「何やってるんだよ。パスの出し方違ってるぞ」
峻太の声が大きく響き渡った。
「だから、お前がディフェンスつかなきゃまわりが動けねーだろっ」
「なんでそこでとまるんだよ。動けよ」
なぜだか今日の峻太はいつもと違い険しい表情に見える。
「今日の峻太先輩怖いね」
「でもさ、真剣な顔もかっこいいよね」
「あー、私も先輩に怒られたい」
「どうしたのかなぁ、なんかあったのかな」
後輩たちの声が聞こえる。
本当に今日の峻太はどうしたんだろう。
最近、声もかけてくれないし…