鏡に映る自分を見つめる。


『私は誰がすき?』


鏡に中の自分に問いただす。


嘘つきな自分がうつる。




仁さんの笑顔が浮かぶ。


峻太の大人びた横顔が見える。


そして大きな背中と温かいあの人の眼差しが…



鏡にはずるい私がいる。



そんな自分を流し消すために、鏡に向かい水をかける。



シャワーを持つ手に涙がこぼれた。


嘘つきなんかじゃない。もっとうまく自分の気持ちに嘘がつければいいのに。



自分の気持ちも洗い流せるんじゃないかと、何度も何度も頭からシャワーを浴びた。