暑いくらいの日差しが差し込む午後の授業。

いつもなら居眠りをしていまいそうになるけれど、先生の現国の時間は特別。

こうして大好きな先生の現国の授業を受けられるのもこの1年だけ。

そして、来年の今私は何をしているのだろうか。

期待と自分の未来に向かう力が増しているのか、なんとなく教室に凛とした一本の道筋が

見えているようで、それに向かって進もうとがんばるみんながいることに気がつく。

未来へと向かって歩んでいく友達。

私はどこへ向かっていけばいいんだろう。

自分だけ進むべき道が見つからない。

峻太の横顔が見えた。

自分の道に真っ直ぐに突き進んでいくような力強い眼差しは、私の知らない峻太になって
しまいそうで不安になる。

自分だけが置いていかれているような、焦りと孤独感。

自分は…

計り知れない不安が私を飲み込もうとしていた。

今にも、泣き出してしまいそうになったとき、先生の朗読の声で『はっ』と我に帰った。

優しい声が聞こえる。