沈黙が続く中、あたしと羽鳥しか居ない教室では窓を叩く雨音がやけに響いていた。

外では雨が降りしきっている。



羽鳥は頬杖をついたままで、表情を隠す。

1年で同じクラスになって仲良くなって、でも羽鳥とは恋愛の話なんて今までしたことなかったんだ。

だから、知らなかった。



「羽鳥……好きな子いたんだ?」


耐えきれずに沈黙を破る。



「まぁな。つか、もう葉月戻って来んだろ?オレ、用事あるから行くわ」


グシャ

コーラの缶を潰して羽鳥は鞄をひょいと肩にかけてあたしに手を振った。

その背中を見送る。

羽鳥も恋してたんだぁ。

全然、知らなかったよ。