「何言ってんだ!お前が五月蠅くしたからいけないんだ!」
酔っ払いと見られる自転車の男が何度もそう言い張る。
その様子をみて絋佳は、説得を試みようと話し掛けた。
「あなたのおっしゃることは良く解りました。突然クラクションを鳴らされとても嫌な思いをされたのですね。大変だったと思います」
穏やかに、相手の苦労が理解できたと伝えると、男の表情は少し和んだ。
「でも、ここは一般公道です。そして、見ての通り沢山の方々にあなたは迷惑をかけていますよ。この自転車をどけていただけますか?」
そして、あくまでも穏やかにギャラリーを見ながらそう伝えた。