「えっと……いまいち理解しがたいのですが……」
絋佳がそう尋ねると、おじさんが苦笑いで答えた。
「いやね、車でまっすぐ走ってたらこの方が自転車で十字路の右からやってきたんだよ」
絋佳は十字路の右側を見ると今いる道路より少し道幅が狭く、車がやっと通れるほどだった。
「きっと車の音に驚いたんだろうね。ぶつかりはしなかったんだけど、この方が急に中央で立ち止まったから小さくクラクションを鳴らしたらこの始末さ」
おじさんは困ったようにそう話した。
さっきまで夕日で照らされていた辺りは、少しづつ闇へと姿を変え、街灯がちらほら付き始めていた。