「爽姉……」


紘伽は、そっと姉を呼んだ。


「うん。やっぱりね、感情が先に立つのよ。

光一を嫌いとか、憎いとかそんなんじゃないの」


言葉を選ぶように視線を泳がせる爽佳。



「なんて言うのかな…。現場だと一呼吸置けるのに、それが出来ないのよ…」



段々と、爽佳の眼が潤んできて、徐々に声が震えてきた。



「落ち着かなきゃって、必死で思う自分が隣りで冷静に見ているのがわかるのよ」