「フェーン」


別室で、美鈴の泣き声が聞こえ、爽佳は母親としての感覚を戻した。


「!」


我に帰り、しっかりと目を見開くと信じられない光景が広がっていた。


「ごめんなさい。ごめんなさい……」


そう呟く光一。


「光ちゃんごめん」


抱きしめてあげられないジレンマで胸が裂ける思いだった。


でもそれだけ言うと、徐々に泣き声を高めていく娘の元へと飛んで行った。