大悟は、昔のチューンナップの雑誌に夢中だった。


「ただ兄、まず何から変えたらいいかなぁ〜」


大悟は、目を輝かせて聞く。


「いや、タイプM自体の新品部品が、もうあまりないからなぁ〜」


「俺、金がないからそれでもいいや」


二人の笑い声が、外まで聞こえる。


家の前の道に、大人しく止まっている、黒光りの、いかつい奴までもが笑っているようだ。


しかし、幸せは長くは続かない。


キキキキ〜〜


嫌な音が、小さく響く。


2階の二人には届かなかったようだった。