翔の背中には多きなX字の切り跡があった。



「翔ってさ、5年前同じ位の年の女の子助けなかった?」


「あー!助けたよ!けど、何で葵がそれを知ってるんだ?」


「その子…。」


あっ!
女だってバラしちゃいけないんだ!



「その子!家の双子の妹なんだ!」


「へぇ!そうなんだ…。」


急に黙り込んだ翔。


「翔?」


「あのね、この切り傷ね俺が10歳の頃の傷なんだ。」


「そうなんだ。」


ここは話を合わせよう…。


「俺と同じ位の年の女の子が中学生位の男達に囲まれていて、しかもその男達の手にはナイフがあったんだ。それを見つけて俺はすぐに女の子に駆け寄ってったんだ。女の子は途中で意識をなくして倒れこんじゃって、その子を覆いかぶさるように守ったら背中にX字の切り込みいれられて…。」


「ごめんね…。」


「えっ?なんで葵が謝るの?」


「だってその…。家の妹が…。」


言いたい、直接お礼を言いたい。

けど、私が女だってばれちゃいけないんだよね…。