「むっちゃん〜…」

光さんは砂浜で寝転んだまま。

上に乗っかるあたしを腕で抱きしめて。

「去年の怪我…まだ不安が残ってるのに…頼むわ」

光さんの顔が引き攣っていた。

「ご…ごめん」

そうだった、光さん。

まだ怪我の不安があったんだ…

「今、怪我しても。
もう来年まで現役を続ける事はないから…」

光さんの目は。

あたしをしっかりと捉えて。

自分にも、あたしにも言い聞かすように。

もう後はない、という覚悟が見えていた。