スタンドがざわめく。

10周目、ホームストレートを通過した時。

祥太郎の後ろにはピッタリ光さんがついていた。

同じチーム2台が。

ワークスチームのマシンをじりじりと引き離している。



モニターを見上げるパパをチラッと見ると。

ライダー達のあまりにも出来のいい走行に脱帽した様子だった。



「凄いね…」

知樹が息を飲む。

「本当に…想像以上だよ、あの二人は」

パパが言う。

しかもいつの間にか二人でトップ争いを演じている。

「ワークスに比べたらマシンは良いとは言えないのに…」

パパは顎に手を当てる。

「間違いなくあの二人は全日本でもトップ5に入るライダーだよ」