「むっちゃん〜」

まだ追い掛けてくる。

「も〜!うるさいな!!」

あたしは智道を睨み付ける。

「あたしよりも桜にいっちゃいなよ!!」

大声で叫んだので。

自分のマシンチェックをしていた祥太郎が慌てて振り返り。

光さんのマシンを見ていたパパの相棒、そしてお店とチームの影の立役者、メカニックの淀川 至さんは口を開けてア然としていて。

パパと池田さんも会話を止めて目を丸くしていた。

「桜ちゃん、可愛いけど自己チューだから嫌だ!」

桜本人が聞いたら…

泣きそうな事を平気で言う。

「あたしは好きな人がいるの!
ほっといてよ!!」



…隣の光さんは。

どんな顔をしているかわからないけど。

あんまりムカついてあたしはガレージの外に出た。