「むっちゃん〜!」



来た…



あたしはパパの後ろに隠れる。

「睦海…」

パパが苦笑いをして見つめた相手は。

池田 智道。

同じGP125で走っているサーキット仲間であたしの事を執拗に追い掛ける2歳年下のガキ。

その後ろから。

智道のお父さん、隆道さんもやって来た。

今度はパパが憮然とする。

「親子揃ってやる事同じか」

光さんはあたしとパパを見て苦笑いをする。

池田さんとパパは小さい時からサーキットでライバル。

お互い引退してからも監督同士の立場で、やっぱりライバル。



「むっちゃん、やるねえ」

池田さんはパパの肩を叩く。

細いパパの肩を叩き潰しそうなくらい、凄い勢いだった。

「どーもありがとー!」

パパは軽く流した。