「確かにこんな世の中じゃ。
親子であっても本音が言えなかったり、お互い煩わしいと思って会話をしなかったりして。
最初は些細なズレでも。
それが修復出来ないくらい大きなズレになるんだよ」

それは学校や職場でも同じ、とパパは付け加えた。

「ホンマ、難しいな」

光さんはため息をついた。

「あそこまで捻くれるには相当、家で嫌な事があったんやろうけど…
些細な会話も出来んくらい酷い雰囲気やってんやろな…」



確かに。

香奈は寂しがり屋だったし、人のモノ…いや、悠斗はあたしのモノではないけど。

大切なモノを奪い取って満足したりしていたけど。

そういえばあたし。

香奈と深い話とかしてなくて。

悠斗と付き合い始めてからなんてほとんど話をしなくなった。

どこかで避けていたのかもしれない。