「…光さん」

ようやく泣き止んだむっちゃんが顔を上げた。

「こんなお転婆、大変だよ?
親戚の人達が怒るかもしれない」

むっちゃんは手で涙を拭く。

「怒ったら、俺があいつらを怒るよ…」



俺が選んだ人だから。

誰にも文句は言わせない。



「来年はレースのサポートがサーキットだけになってしまうけど、エントリーするなら必ず行くから」

むっちゃんは頷いて笑った。

「再来年は…
俺の所に来てくれる?」

まだ、むっちゃんの回答を聞いていない。

「うん…」

むっちゃんはそう言うと俺の体にギュッ、と抱きついた。

微かに伝わる体温が、泣きたくなるほど、柔らかい。

「再来年も…その先も。
むっちゃんがライダーを続ける限り、俺はサポートするから。
だからむっちゃんも俺と一緒におって?」

「うん…」



その言葉を聞いて、俺はゆっくりとむっちゃんの体を倒して、キスをした。