「門真さん…」

騒ぎが収まったパドックで、俺は門真さんに殴られるのを覚悟で言った。



「むっちゃんと話したいんで一晩、むっちゃんを借りていいですか？」



門真さんは一瞬、目を細めたけど。

「…そうだね。
一度、話し合った方がいいね」

そして祥太郎を呼んで今晩はむっちゃんと部屋を変わるように言ってくれた。



「いいよ。
今後、遠距離になった時の事もあるし…」

祥太郎は快諾してくれた。

「久々にそーちゃんと同室もいいね」

そう言って笑ってくれたから助かる。

「光さんさ…」

祥太郎は俺の顔を真剣に見つめて

「睦海と結婚する気、ある？」

突然、そんな事を言われて動揺していると

「もし高校を卒業してそう思うなら、今からしっかりと話つけておいたほうがいいよ。
睦海が進学したい、と言うなら関西の大学を受けるようにするとかね…」



俺は頷いた。